IPX防水とは

IPX 常識

IPXは、電子機器やその他の製品の防水性能を表すために使用される指標です。IPXの後に数字が続き、それぞれが異なる防水レベルを表しています。

IPXの数字の最初の部分は、固体物質(例:粉塵や物体)からの保護を示し、0から6までの範囲で評価されます。数字が大きくなるほど、より小さな物体からの保護が高まります。

IPXの数字の2番目の部分は、液体からの保護を示し、0から9までの範囲で評価されます。数字が大きくなるほど、より高い液体への保護が提供されます。

具体的には、IPX7防水は一時的な浸水に対する保護を意味し、一定の時間(通常は最大30分)水深1メートルまでの水中での使用に耐えることができます。また、IPX8防水は特定の条件下での連続的な水中使用に対する保護を意味し、具体的な条件(水深や時間)は製品ごとに異なります。

IPX防水の評価は、製品が特定の防水要件を満たしているかどうかをユーザーに知らせるために使用されます。ただし、IPXの評価は一般的な指標であり、製品の実際の防水性能はさまざまな要素によって左右されます。製品の仕様書や説明を確認することで、具体的な防水性能についてより詳細な情報を得ることができます。

IPX1防水

IPX1は、水滴が装置に垂直に降り注ぐ場合に限り、装置内部への侵入を防ぐことが求められます。しかし、IPX1は非常に低い防水性能を示し、実質的な防水機能は備えていないと言えます。IPX1の装置は、わずかな水滴や湿気からの保護しか提供せず、水に対してほとんど耐性がありません。

IPX1防水は、主に軽度の防水が要求される製品や状況で使用されます。例えば、屋内での使用やわずかな水滴がかかる程度の環境下での使用に適しています。ただし、水に浸かる可能性がある状況や本格的な防水が必要な場合には、より高いIPX等級の防水性能を持つ製品を選ぶ必要があります。

IPX2防水

IPX2防水は、電子機器や製品の防水規格の一つです。IPX2は、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission、IEC)によって定められた防水規格であり、主に液体の侵入から製品を保護する能力を表します。

IPX2防水規格では、製品が垂直方向からの噴流水に対して一定の保護を提供することを要求されます。具体的には、15度の噴流水が製品に対して4分間かけて噴射された場合、内部の機構に影響を与えずに正常に機能することが求められます。ただし、IPX2は完全な防水ではなく、水の侵入を防ぐ能力は限定的です。

IPX2防水は、軽度の水の曝露に対して製品を保護するために使用されることがあります。例えば、軽い雨や水しぶきからの保護などに利用されることがあります。しかし、水中での使用や強い水圧に対する保護には適していません。

重要な点として、IPX2防水が付与された製品を水中で使用する場合や、より高い防水性能を必要とする場合は、IPX7やIPX8などのより高い防水規格を持つ製品を選ぶことが推奨されます。

IPX3防水

IPX3は防水規格の一つで、主に雨水からの保護を提供します。以下にIPX3防水の特徴を説明します。

IPX3防水は、液体の水滴が垂直または最大60度の角度で装置に降りかかった場合に、内部機器への侵入を防ぐことを示します。具体的には、装置が傾斜している場合でも、水滴が内部に侵入するのを防ぐように設計されています。

IPX3は、軽い雨や水しぶきに対して十分な防水性能を提供しますが、完全に水没したり、大量の水圧や水流にさらされたりすると保護が保証されないことに注意してください。IPX3は一時的な露出に対してのみ保護を提供します。

防水規格にはIPX0からIPX8までのクラスがあり、数字が大きいほど高い防水性能を示します。IPX3は防水性能の中程度のレベルであり、雨天時の一時的な使用や軽度の水しぶきに対して適しています。

ただし、具体的な製品に関しては、IPX3のみでなく他の防水規格や製品の仕様を確認することをおすすめします。また、防水性能は時間の経過や使用状況によって劣化する場合があるため、適切なケアやメンテナンスが重要です。

IPX4防水

IPX4防水は、電子機器やその他の製品の防水性能を表す規格の一つです。IPX4は、国際電気標準会議(IEC)によって定められた防水規格であり、水の飛沫からの保護を提供します。

具体的には、IPX4防水は以下の条件を満たすことを意味します:

水の飛沫に対する保護: IPX4の試験では、製品に水を投射します。水の飛沫があたっても内部に浸入しないことが要求されます。ただし、水の直接の噴流や完全な浸水には耐えられません。

防護の継続時間: IPX4の試験では、製品に水を投射する時間が5分間続きます。この間、製品は水の飛沫に対して保護される必要があります。

IPX4は、比較的軽度の防水性能を持つレベルです。水しぶきや湿気のある環境での使用には適していますが、水中や大量の水にさらされるような状況では十分な保護を提供しません。

IPX5防水

IPX5は、電子機器や製品の防水性能を示す国際規格の一つです。IPX5の評価は、水の噴射による保護レベルを表しています。

具体的には、IPX5の評価では、水のノズルからの噴射による水の飛沫が、最大15分間のテスト期間中に機器に対して垂直または角度を変えて行われます。このテストでは、12.5リットル/分の水流量で、機器に対して全方向から噴射されます。

IPX5の評価を取得するためには、テスト対象の機器が15分間の水の噴射に耐え、機能や性能に支障が生じないことが求められます。つまり、IPX5の防水性能を持つ機器は、強力な水の噴射による保護を提供し、一時的な浸水や雨天時の使用に対して耐性を持つことが期待されます。

ただし、IPX5の評価は噴射水の飛沫に焦点を当てており、完全な水没や長時間の水への曝露には対応していません。より高い防水性能が必要な場合は、IPX7やIPX8などの評価を持つ製品を選択することが推奨されます。

IPX6防水

IPX6は、電子機器や他の製品の防水性能を表す指標です。IPX6の防水規格は、国際電気標準会議(IEC)が定めたもので、製品が強力な水流による噴射から保護されることを示します。

具体的には、IPX6の試験では、製品が高圧の水流(直径12.5mmのノズルを使って約100リットル/分の水流)にさらされます。この試験中に、製品が内部に浸水せず、正常に機能し続けることが要求されます。IPX6の試験は、製品の防水性能を確認するための基準として使用されます。

IPX6の防水性能は、比較的高い水圧の条件下での使用に適しており、例えば雨天時や水しぶきのかかる状況などでの使用に十分な保護を提供します。ただし、注意点としては、IPX6の防水規格に適合する製品でも、水の浸水や完全な水没には耐えられないことに留意する必要があります。

なお、IPX6は水の侵入に対する保護レベルを表すものであり、IPX6以外の数字や文字が付いたIPコード(例:IPX4、IPX7など)もあります。それぞれの数字や文字は、異なる水の侵入レベルを示しています。

IPX7防水

IPX7は、電子機器や防水製品の防水性能を示す国際規格の一つです。IPX7防水規格は、製品が水没しない程度の防水性能を持つことを示します。

具体的には、IPX7規格では以下の条件を満たす必要があります:

テストの際、製品は水槽に浸されます。
水槽の深さは1メートルで、浸水時間は30分間です。
製品はこのテストを受けた後でも、正常に動作し続けなければなりません。
IPX7は、製品が短時間での水没に耐えることを示していますが、長時間の水中使用や水圧の高い環境では保証されません。また、IPX7は一時的な水中使用に対してのみ保護を提供するため、水中での連続的な使用や深い水中での使用には適していません。

製品の防水性能を確認する際には、IPX7以外の規格(例: IPX8)や製品の取扱説明書を確認することが重要です。

IPX8防水

IPX8は、電子機器や他の製品の防水性能を示す国際規格です。IPX8の評価では、機器が水中に最大で1メートルの深さで連続的に浸水しても損傷を受けないことを示します。

具体的には、IPX8評価を受けた製品は、水中での使用や一時的な浸水に対して非常に耐性があります。ただし、IPX8は製品が完全に防水であることを保証するものではなく、評価された条件に従って正しく使用される限りにおいて水に対して耐性を持つことを示しています。

したがって、IPX8評価を受けた製品は、例えば水泳やシャワーの中での使用に適している場合がありますが、深海ダイビングや高圧水流にさらされるような極端な状況では、製品の防水性能が保証されない可能性があります。

製品の防水性能について詳細を知りたい場合は、製品の仕様や説明書を参照するか、メーカーに直接問い合わせることをおすすめします。

IPX9防水

IPX9は、防水性能を示す国際標準規格の一つです。IPX9は、固定された噴流器を使用して高圧で水を噴射するテストに合格した製品を指します。

具体的には、IPX9規格では以下の条件を満たす必要があります:

製品は、水の噴射による侵入を防ぐための適切なシールやケーシングを持っている必要があります。
製品は、製品の一部や内部において、高圧水の噴射によって生じる水の侵入を防ぐことが求められます。
IPX9の試験では、水を80〜100バールの圧力で製品に噴射します。このテストでは、製品の防水性能が高いことを示すため、高圧の水の噴射にも耐えることが求められます。

IPX9は、非常に高いレベルの防水性を示しており、強い水の噴射に対しても耐性を持っていることを示します。しかし、完全に水を封じ込めることはできないため、水中での使用や完全な水没には適していません。

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